ピルは女性の妊娠を避けるための避妊薬ですが、日本では薬局で販売されていません。
なぜ薬局でピルを買えないのでしょうか?
また、今後はどのように変わっていくのでしょうか?
この記事では、ピルの薬局での販売に関する現状など、そして今後の展望についても解説します。
ピルが薬局などで買えない理由
ピルは、女性が妊娠を避けるために服用する薬ですが、日本の薬局などでは、販売されておらず、病院やクリニックでしか入手できません。
これには、2つの大きな理由があります。
1.副作用のリスクがある
ピルは、女性ホルモンを含んでいるため、吐き気や頭痛、不正出血などの副作用が起こる可能性があります。
また、服用する人の体質や病歴によっては、血栓や心筋梗塞などの重大な副作用が起こる危険性もあります。
そのため、ピルを服用する前には、医師の診察を受けて自分に合った種類や量のピルを処方してもらう必要があります。
2.誤った使用のリスクです
ピルは、毎日決まった時間に服用しなければなりません。
もし忘れたり遅れたりした場合は、避妊効果が低下したり、副作用が増えたりする可能性があります。
そのため、ピルを服用する際には、医師から正しい服用方法や注意点を教えてもらう必要が。
ピル市販化のメリット、デメリットと薬局で販売される可能性
近年ではピルの薬局での販売を求める声も高まっています。これには、以下のようなメリットがあると考えられています。
-医療機関を受診する手間や時間がかからず、スピーディーに入手できる。
-医療機関が遠方にある場合や、診察を受けるのが難しい人でも入手しやすくなる。
-避妊の選択肢が広がり、女性の権利や健康に配慮した社会づくりにつながる。
しかし、ピルの薬局での販売には反対する意見もあります。これには、以下のようなデメリットがあるからです。
-誤った使用法が広まったりする、副作用のリスクの高い人がピルを使用したりしてしまう場合がある。
-薬剤師による適切な指導やフォローが難しくなる。
-薬価が上がったりする可能性がある。
2023年10月、厚生労働省は、ピルの薬局などでの市販化のメリットなどを踏まえ、緊急避妊薬(アフターピル)について、一定の要件を満たす薬局で試験的に販売することを決定しました。
これは、アフターピルだけでなく通常のピルも将来的に薬局で販売される可能性もでてきているということです。
しかし、ピルの薬局での販売が実現するかどうかは、まだ分かりません。
緊急避妊薬(アフターピル)の試験販売を開始
厚生労働省は、アフターピルの薬局での試験販売運用を、2023年11月20日から行うことを決めました。
対象となる薬局は、一定の要件を満たした全国の約150店舗です。
この試験運用の結果を踏まえ、厚生労働省は、ピルの市販化についても検討を進めているようです。
販売できる薬局は「研修を受けた薬剤師が販売」「夜間・土日祝日の対応が可能」など、一定の条件を満たすことが条件であり、すべての薬局で試験販売されるわけではない点に注意が必要です。
まとめ
ピルは副作用が強いという理由や異なった使用方法によるリスクがあるという理由から、日本の薬局では、販売されておらず、病院やクリニックでしか入手できません。
海外のようにピルが市販化されている場合のメリットにも注目され、日本でも緊急避妊薬(アフターピル)の試験販売がおこなわれるようになりました。
試験運用の結果を踏まえ、厚生労働省は、ピルの市販化を検討しているようです。